みなさまこんばんは。
え~、普段いつも気付くとばたばたしているまき衛門でございます。が、何をそんなに忙しがっているのかと不思議に思われるかもしれません。園芸にまつわる仕事は、多分他のお仕事をなさっている方も一緒なのでしょうけれども、見えないところの作業がてんこもりなのでございますな。
で、その1例をご紹介しようかなあと。
先日、市場から、イタリアンラベンダーを仕入れました。
ブルーベリーラッフルズとシュガーベリーラッフルズという、コンパクトな草姿にまとまり、初夏までの連続開花性に優れるというなかなか気の利いた品種でございます。
鉢もプラスチックですが、マットな質感のベージュで、花の色ともよく合っていて、見栄えがよろしい感じです。
さて。こういう鉢物の場合、生産者さんは市場に出荷するにあたって、このようなセロファンで植物を包んで出荷されるということが多いようです。
流通の過程で枝が折れたりしないように保護するためとか、高級感の演出といったことがおもな理由だと思われます。
確かに、このほうがお客様にも高級感をアピールできることでしょう。
が、まき衛門は店に持って帰るやいなや、このようにセロファンをはがします。植物の通気性が確保できず、すぐ蒸れてしまうからです。
数十鉢分のセロファンをていねいに取り外します。
で、セロファンをはがしていると、このベージュの鉢の中にラベンダーを直接植え込んでいるわけではなく、ポリポットの苗をそのまま入れた状態である、ということに気付きます。こういうのを「落とし込み」と呼んでおります。
多分、出荷まで苗の状態で育て、出荷直前にプラスチックの鉢に落とし込むことによって、鉢の汚れを防ぐことができる、という事情なのでしょう。鉢が汚れていると、競りにかけてもあまり良い値段がつきませんからね。
が、この落とし込みは、鉢の高さと苗のポリポットの高さが極端に違うため、セロファンをはがしても、株もとに風が通らず、やはり蒸れやすい状態となっております。
まき衛門の指の位置が鉢の高さになります。苗の株もとからの位置と比べていただくと、その差がおわかりになると思います。
なので、これもそのままのほうが見た目はいいのですが、鉢から出して、苗の姿で販売をすることにします。
数十鉢分の作業を、これも行います。
ラベンダーの通気を充分確保した上で、各苗に肥料をあたえていきます。連続開花するということは、それだけ体力を使いますから、肥料は欠かせません。一株に数粒ずつ、これもつぼみを折らしたりしないよう気をつかいながら、地味~に作業を続けます。
さらにさらに、今回はなんと薬剤まで散布しなければならなくなりました。市場に出荷される植物にあってはならないことですが、なんと害虫被害にあっている株が数株あり、他の株への被害拡大も考えられるためです。これも全部の株への散布を行います。
このあと水やりをし、伝票とにらめっこして値段を決め、いろいろな説明やまき衛門なりのアピールポイントを書いたポップをつくり、売り場に並べ…という作業を仕入れた商品すべてにおいてくりかえすわけです。
また、こんなこともします。
こちらはヒナソウ。
早春から春にかけて咲く多年草でございます。
その苗を観察しましたところ、苗の根鉢(根っこが張っている土の部分)の土の量がかなり少ない感じです。
右の黒いポリポットに対して苗の株もとがかなり沈み込んでしまうくらいの土の量です。
そこで土増しを決行することにしました。今まで植わっていたポリポットの底に土を少量つぎ足し、
少しだけ苗の 根っこをもみほぐして
元のポリポットに戻して隙間に土を入れます。
そしてこの苗にも肥料を与えて完成でございます。
このひと手間が苗の劣化を防ぎ、開花期間を伸ばしたり、良い花を咲かせることにつながるのでございます。
こんなことをやってるから、いつも店内はあれやこれやととっちらかってしまうのですけれどもね~。
しかも、このことが今すぐの儲けにはつながりませんしね~。
もっと効率のいい仕事のやり方はあるだろうに、自分でもなんでこんなことやってしまうんだろうって情けなくなることもありますけれども。
いざ自分でこれらの植物をつかって植え込みをする、という段になって、やはりこの下準備がなければ、安心して植えることができなかったろうなってしみじみ思うのであります。
お客様にも、それらが直接は伝わらなくても、育てているうちになんらかの手ごたえとしてお手元に残ってくれたら、嬉しいのだけれどと思いつつ。
それでは本日はこれにて。みなさまごきげんよう。
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