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2007年11月28日 (水)

そういう人に私はなりたい。

みなさまこんばんは。

本日は競りの日ではなかったのですが、所用で花市場に行ってまいりました。

001 薄曇りの午後、駐車場のフェンスのむこうに、

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008 たっくさんの銀杏の木の、葉色の移ろいが広がっていました。点描画みたい。

黄金一色の銀杏の落葉なんていうのもいいのだろうけれど、まき衛門はこんな微妙な色の移ろいに心惹かれます。変わろうとして、まだ変わり切れないもどかしさや、淡いためらいみたいなものがそこにはあるような気がして。青臭さと熟成の静かなせめぎあいのような。

逆に真っ盛りにはあまり興が湧かないんですよね~。

だから、へそまがり、なんて言われてしまうのかもしれませんけどね~。でも、華やかさの手前の渋い渋い色合い。こういうのを、和っていうのじゃないかしらと思ってみたり。そういう隙間のような時間や空間に存在する美しさを表現したり見出したりできる。そういう人に私はなりたい。今はまだ無理だけど。

それでは本日はこれにて。みなさまごきげんよう。

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2007年11月26日 (月)

植えもん屋的に接客術を考えてみるの巻。

みなさまこんばんは。

東京に行きました折に、いつもすごいなあって思うことのひとつが、接客業に携わる方々の接客でございます。柳原可奈子ちゃん演じるところのショップの店員さんみたいな接客も、たくさん見かけて、あの落ち着きのないうさんくささが面白かったりもしたのですが、そうではない、ちゃんとしたお店の接客術がすごいって思いました。デパートや、老舗や、話題のショップや、飲食店…。そういうところの。

丁寧だし、流暢だし、いたれりつくせりだし、きちんとしてるし、決して嫌悪感を抱かせない。それは、すごく訓練なり研修なりを積んでいるということにほかならないわけで、そこに至るまでは大変だったんだろうな、とか、思いつつ見ていたのでした。なんというのか、本当に隙がないわけです。

そんなことを言っているまき衛門の接客はどうなのかと申しますと、それはもう、隙だらけです。不器用だし、おっちょこちょいだし、脈絡がないし、いたってないしつくしてないし、かなりマイペースだし、やりっぱなしだし、っていうもうだめだめなかんじです。逆にお客様のほうがしっかりしていて、まき衛門を助けてくださることも多くて。おほほほほ。

でも、こんなまき衛門でもやっていける接客術っていうものをそれなりに試行錯誤しているつもりではあるわけなんですけれどもね~。

植えもん屋に来られるお客様って、まずはじっくり植物を見たい、という方が多いです。なので、目が合うか、近くに来られるまでは、決してこちらからは声をかけません。ある意味ほったらかしでございます。ただ、本当にほったらかしにはいたしません。少し離れたところからゆる~く、お客様の動向は見ています。何か、質問したいことはないかなあとか、探しているものはないかなあとか、どんなジャンルのものを見ているのかなあ、とか。てきとうに作業などしつつあくまでゆるくそこにいるようにして。で、お客様がこちらを必要としている、と感じて初めて出動します。

そして、決して無理におすすめすることはいたしません。お客様ご自身がその植物を気に入って買ってくださるのでなければ意味がないからです。とりあえずポップにその植物のおすすめポイントや、味わいどころなどを書いているので、それに反応してくださった方には、更なる魅力をお伝えしたりします。逆に、ここが弱点だ、ということもちゃんとお伝えします。寒さに弱いから冬は室内に置いてくださいね~、とか。この苗は無農薬で育ててるから、葉っぱが虫にくわれてぶさいくちゃんになってるけど、また新しい葉っぱが出るから心配しないでね~とか。

で、あまりに無理強いしないので、お客様が逆に心配して、「もっと強引にならないと、儲からないわよ!」って言われたりもするんですけどもね~。お客様がその植物が欲しいと思ってくださるようには努力はしますけれども、結局最後は植物と人とのご縁があるかどうかなので、選択権はお客様に委ねたいなあと。一度は買わずに帰っても、また忘れられなくなって買いに来た、と言ってくださるお客様も多いですので。で、買ってくださったお客様には、一口メモ的に、育て方のポイントなどもお伝えします。

どちらかというとやや受身的ですけども、押すことができない性分ですので、ありのまま勝負する感じなわけです。

接客業、というのは、本当に毎日何がおきるかわからないので、緊張の連続です。ときにはお客様に心無い言葉を浴びせられて、どんよりと落ち込んだり、悔しくてたまらなくなったり、軽い人間不信になったりもします。実は今日もいろいろあって、30分くらい植えもん屋を抜け出してプチ家出しちゃったんですけどね~。いけませんな。

でも、そんな気持ちを救ってくれるのが、別のお客様だったりするわけです。「この前の花、ものすごく咲いてくれて、きれいだったよ」とか、「ここの花は、なぜか元気が良くて、長く咲いてくれるのよね」とか、「この前教えてくれた通りに植えたら、ご近所のひとが褒めてくれて・・・」とか。そんな言葉をかけてくださる方々も多くて、もうやってらんねえぜ、と自暴自棄になりかけたささくれまき衛門の気持ちを、あっという間にやわらかくしてくださる。本当にありがたいことです。

結局のところ、接客術、というよりは、お客様に助けられてなんとかやっていけてる、ということのようでございます。おほほほほ。

それでは本日はこれにて。みなさまごきげんよう。

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2007年11月21日 (水)

冬の寄せ植えを少々。

みなさまこんばんは。

え~、例の、魂の苗職人M園芸さんの苗を見ていたら、寄せ植えをつくりたくなったので、いくつか寄せてみました。諸事情により、使える植物の種類がすくないのですが、なんとかやりくりしつつの植えもん屋でございます。

012 まき衛門はあまりデザートを食べることがないのですが、時々、むしょうにケーキが食べたくなることがあります。

なので、

069 ホールケーキ風に植えてみちゃいました。

ビオラとハクリュウという植物をシンプルに。

011 黄色×青+白。永遠のさわやか定番カラーですな。

050 こちらの「よく咲くスミレ・ブルーべリ-パイ」という品種は

032 黄金葉のワイルドストロベリーと、ブラウングラスのカレックスとハンギングバスケットに。

040 同じく色違いのスミレ「レモネード」は斑入り葉ワイルドストロベリーと、これもハンギングバスケットに。どちらも来春の光に映えることをイメージしてみたりして。

015 ビオラ「ブルースワール」もカレックスと渋くしぶく。

013_2 これは寄せ植えじゃなく、1株なんですけど、植えて2週間ほどでこのボリューム、この花付き、すごくないですか?しかも春まで次々に咲き続けてくれます。これがM園芸さんの苗の威力でございます。

009 これはビオラばかりをアンティーク風な木の植木鉢に植えました。気温の変化や、咲き始めと咲き終わりで色が変化する微妙な色合いのものを選んでおります。更にたくさんたくさん咲いたとき、

010 「まさに花の宝石箱や~」と言いたいがためだけに植えました。(←あほです。)

066 ビオラ「レモンスワール」はアリッサムとともに、

080コニファー・ウィルマと定番中の定番の組み合わせで。

074 これも同じく定番なんですけども、この業界の方や、ディープなビオラファンの方なら多分お気づきになるかと思いますが、

072 この色は新色なんですよね~。黄色でもなく、オレンジでもない、その中間色。今までビオラのオレンジって、きらいではなかったのですが、どうもマットな感じで花が平面的に見えていたのです。黄色にしても明るくてかわいくていいんだけれど、新鮮味に欠ける、という印象は否めなくて。それがどうでしょう、このふくよかで立体感に富む色合い。美味しそうだわ~。(食べませんけどね~。)

ただ、案外寄せ植えにするのはむつかしいかもしれません。優しく見えて実は個性が強いこの色を生かしきる、ということを考えますとね。

027 最後に、ちょっと和風の一鉢を。

本当は紫×白の「ホワイトジャンプアップ」というビオラだけで植えようかなって思っていたのです。でも、なんか大人しい印象だったので、黄金セキショウの大株をあわせたら、ぐっと和風なイメージになりまして。でもそれだけだと初夏のイメージの色合いだったので、冬のイメージをプラスしたくてガーデンシクラメンの赤を加えました。ご愛嬌で黄色の斑入りのアイビーも手前に垂らしております。

例えばこれに渋い色のサンタさんやトナカイのピックを挿せば和のクリスマス仕様に、凧や門松のピックなどに差し替えればお正月のウエルカムコンテナになるかもなどと思ってみたり。

ああ、今年ももうあと一月ちょっとでございます。

しみじみ。

それでは本日はこれにて。みなさまごきげんよう。

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植える覚悟、ということ。

みなさまこんばんは。

花道家の川瀬敏郎さんが、その著書の中で「活けるために花を切るときには、その花の命を生かしきる覚悟がなければだめだ」というようなことを書いておられたのを、昔、読んだことがあります。(まき衛門のかなり頼りない記憶が確かならば、ですが…)そして、命を掌の中に入れることの重さに、ちょっとどきどきしたことがありました。

でも、それはですね~、植えもん屋道にも通じることだと思うんですよね~。植えるってことは、その花に、木に、そこで生きていく縁を与えてしまうことでもあるわけです。これは、よくよく考えると、とても罪深いことかもしれないなって思うわけです。だから、そこに生きる意味がちゃんとあるように植えないといけないのかなって、考えてみたり。「植える」という行為にも、まき衛門は覚悟を必要とするのだなって、いつも思うのです。

個性のある鉢に植えるときには、この植物を植えるために生まれてきたような鉢だなって思えるくらいぴったり似合っている鉢に植えてあげたいなって思う。寄せ植えなら、ひとつの鉢の中に住まう仲間として、質感や色や、気質の合うものたちを寄せていきたいと思う。花壇に植えるのなら、その場所が華やぐ歌を奏でるように植えたいなって思う。そして見てくださる方に、そのほとばしる命を感じていただけたらいいなって、思う。

だから、植える前には、気持ちを整えていかないといけないし、植えるときは他のなにも目にいれたくないし、植え終わったあとは、ただ、放心状態になって、体からすっかり力がぬけてしまっていたりする。植えるって、そういうことだと思うのですよ。

と、偉そうに書いてはみるのだけれど、実際はなかなか突き詰めてはいけませんで、妥協や、惰性の連続だったりするわけです。それが商売として成り立っていないといけませんし、時間は限られているわけで。

でも、いつか、ただ純粋に、植える、ということに向き合える日が来たらいいなって思ったりします。趣味人としてではなく、出来れば職業人として。花を美しく活ける、ということが職業として成り立っているように、花を美しく植える、ということが職業として成り立ってくれたらいいなあと。まだまだ遠い夢ですが。

それでは本日はこれにて。みなさまごきげんよう。

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2007年11月20日 (火)

ワイルドストロベリー伝説について考察してみた。

みなさまこんばんは。

数年前、あるテレビ番組で「ワイルドストロベリー伝説」なるものが紹介されていました。ワイルドストロベリーという植物を育てて実がなると、たちまち恋人ができ、結婚しちゃう、みたいな。実に心おどる伝説でございます。なので、その後しばらくワイルドストロベリーブームがおき、園芸界がちょっと華やいだりもしたのでした。ご存知の方も多いかと思いますが、ワイルドストロベリーって、ハーブの一種として流通しています。かわいい白花を咲かせた後、下向きに小さな赤い実をつけます。見た感じはへびいちごによく似ているんですけどね。へびいちごは花が黄色で上向きに実が成るので区別は簡単です。

で、2年程前、親戚に寄せ植えを作って欲しい、と頼まれました。職場の同僚の女の子の誕生日祝い、ということでしたが、聞けばそのレディーは彼氏いない歴が年齢と同じ、とのこと。ならば、とレースラベンダー、パンジー、アリッサムなどといった草花とともに、ワイルドストロベリーを寄せ植えにして、お届けしたのでした。もちろん、素敵な恋人ができますように、という願いを込めてのことです。

しばらくたって、親戚から「彼女はその寄せ植えを大事に育ててくれていて、無事に実が成ったらしいよ」と聞きました。

更にしばらくして「彼女に初めての彼氏ができたらしいよ」と聞きました。

また更にしばらくして「その彼氏はなんだかお金持ちらしくて、ブランドのバッグや最新機種の携帯電話なんかを次々にプレゼントしてくれるらしいよ」と聞きました。

そして今年に入って「2人はこの春結婚することになったらしいよ」と聞きました。

更に、更に「豪華な結婚式だったわよ~。新居は新築のマンションの最上階らしいよ」とのこと。

恐るべし、ワイルドストロベリー伝説。

ここで、このブログを読んでくださっている方ならご存知かと思いますが、まき衛門も現在仕事が恋人のレディーですゆえ、「自分のためにそれを植えたほうがいいんじゃないのか」という声が聞こえてきそうでございます。

実は、まき衛門もテレビを見たあと、こっそり植えたことがあるんですよね~。久々に、素敵な恋がしたいな~なんて思って。でも、ちょっと恥ずかしいし、あからさまな感じは好きじゃないので、山野草風に、小さなタコつぼに植えて、軒下に吊るして育てたのです。そして、しばらくすると実が成りました。なかなか風情があって、いい感じでした。その結果どうなったかと申しますと。なんと、こんなまき衛門にも男性からのオファーがいくつかあったのですけれども。

「僕は君が好きだ。でも、他の子もみんな好きだ」とか、「僕は、君に守られるために生まれてきたんだ」とか、「ママ、帰らないで」とまき衛門にすがりついて号泣したりとか、「僕たちは見張られている」「僕の家にはスパイがいて、僕たちの邪魔をしようとしている」というメールを送ってきたりとか、毎日なぜか葉書で恋文を送ってきたりとか。ちょっと個性的なオファーが多くてですね。

まき衛門はすっかり恋に臆病になってしまいました。

教訓。ワイルドストロベリーはタコつぼに植えたりせず、素直な気持ちで素直に育てたほうがいいでしょう。

それでは本日はこれにて。みなさまごきげんよう。

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2007年11月17日 (土)

植物は、見分けています。

みなさまこんばんは。

本日は、植物って人を見分けるんだそうですよ~、というお話を少々。

それはまだまき衛門が愛くるしい少女だった頃、テレビを見ていたら、「将来は植物を犯罪捜査に活用できるかも?」みたいな番組をやっていました。家業が植えもん屋でしたゆえ、まき衛門がほほう、と興味をそそられたことは言うまでもない。

見ていると、画面の真ん中に観葉植物が一鉢用意され、そこへ登場した一人がその葉をちぎりました。それからその観葉植物になにやら複雑な計器のようなものがとりつけられました。植物が反応すると嘘発見器みたいに針が動く、という仕掛けのものでした。そして何人かの人物がその植物の後ろを歩く、という実験をしたのでしたが、誰が歩いても無反応だったのに、先程の葉をちぎった人が近づいたときだけ、針が大きく動いたのでした。

その実験結果に、まき衛門はすごい衝撃をうけました。あの、物言わぬ植物が、実は人の判別ができるとは…!!という感じで。そして番組は、この実験結果をもとに、将来的には証拠の少ない犯罪捜査の場合でも、現場に生えている植物のその能力を活用し、犯人逮捕につなげられるかもという研究が進められている、と締めくくっていました。す、すごいわ~、植物って、と番組をみたあとのまき衛門の胸にはただならぬ感動が漂っていたのでしたが。

さて。その後、こんなに科学が進歩した今日でも、植物が犯罪捜査に役立っている、などという話はいまだ耳にしたことがなく、冷静に考えれば、あの実験結果では、植物は自分に関係がある人物しか見分けないんじゃないか、ということも考えられ、別に犯罪を目撃したとしてもなんの手がかりにもなってくれないかもね~、なんて思ってみたりするのです。そして同時に、あの番組自体がテレビ局のつくりごとなんじゃないかって思ったりしないわけでもないです。なんとなくうさんくさい感じがしないわけでもなかったので。

でも。植物は人を見分ける、というのは本当だなって、この仕事をしていると時々感じるのですよ。

植えもん屋にはいろんな種類の植物がありまして、割と一般受けする種類のものからちょっとマニアックなものまで売り場に並んでおります。で、マニアックなものがあまり好きではないお客様がそのコーナーを見ておられるとき、まき衛門もその視線の先にある植物を一緒に見ていると、なんだかその一角がすごくくすんで見えるといいましょうか。その植物たちがふいに心を閉ざしたのじゃないか、って思うくらい無表情に見えてくるのです。

逆に、その植物が好きでたまらないっていうお客様が来られたときには、同じはずの植物が、急に美しく見えたりするのです。まるで波長の合う友人をみつけたかのように、いきいきとし始める、と申しましょうか。

今植えもん屋には「よく咲くスミレ・ブルーベリーパイ」という品種が入荷しておりまして、個人的には、嫌いじゃないけど、個性が強くて使いにくい色かなって感じて、無条件にきれい、ともいいにくいかな~なんて思ってたのです。

でも、今日、その「ブルーベリーパイ」を選んでレジに持ってこられたお客様の手にあるその花を見たとき、まき衛門ははっとしました。なんて美しいのかしらって。恋する乙女のような初々しさ、というか、やっと共感しあえる仲間にであえたときめき、というか、なんか花自体がそんなみずみずしい感情にあふれた表情をみせていたのですよ。

その花を袋に入れながら、ああ、やっぱり植物って、人を見分けるんだなって。そして波長の合うお客様につれて帰ってもらえてよかったねって思ったのでした。

植物の側にいると、科学とか、目に見えるものよりも、自分の感覚とか、勘、とか、なんとなくそういう感じ、みたいなものがとても大事に思えてくるんですよね~。そしてそういうものに身をゆだねるのって、ちょっと心地よかったりします。

それでは本日はこれにて。みなさまごきげんよう。

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2007年11月12日 (月)

もはやアートとしか言いようがない。

みなさまこんばんは。

昨日、店頭に並べている苗を見ながらちょっと泣けてきたまき衛門でございます。あ、いえ、植えもん屋をもうすぐ卒業するからといって、おセンチになっている、とかそういうことではございませんで、ただ、感動したんですよね~。

え~、昨年の、確か10月頃のこのブログにも書きましたけれど、当地方には凄腕の苗職人さんがいるのです。M園芸さんといって、母娘でいろんな季節の草花や、たまに野菜の苗なんかも作って花市場に出荷なさっておられます。彼女たちの作り出す苗は、元気で、生育が良くて、見た目も美しく、作る色もお洒落だし、なにより魂がこもっている、というか、植物に心が宿っている、ということを感じるのです。それだけ、研究や努力や辛抱を重ねてつくっているということなのですが、その苗にはなんともいえぬ独特のオーラがある、と申しましょうか。

市場に出荷される花の苗というのは、通常1ケース28本入りで、4本×7本という配列になっております。で、同じ種類の草花が、たくさんの生産者さんから出荷されてきて、場内の棚にずらっと並ぶのですけれども、そうなると、各苗の品質の良し悪しが残酷なほどはっきり見えてしまうわけです。

で、きれいなだけの苗なら、たくさんあるのです。いくつかの色を上手に組み合わせてそれなりにきれいな感じで。ぱっと見たら、一瞬そういう苗にも目を奪われるんですけれども、そこからぐっと吸い込まれてしまうような深みがないのです。それはなんだか規格品が並んでいるようなどこかうつろな美しさ、です。で、そんな苗を見つつM園芸さんの苗の前に立つと、もういきなり胸ぐらをつかまれてぐいぐいと引っ張られていくような吸引力を感じます。なんて美しいのかしらって。そして、頭に血がのぼっちゃうんですよね~。これ、絶対仕入れたいなって。

ですが、M園芸さんは少人数で栽培されているので、一回の市場に出荷されてくる苗のケース数はそれほど多くないわけです。なので、M園芸さんの苗を競るときには、多くの業者さんと競り合いになって、なかなか思うようには買えなかったりするわけです。で、うまく仕入れられたときには、晴れやかな気持ちで車に載せて帰り、そして店頭に並べると、たちまち売り場が華やぐのを感じるのでした。

で、木曜に仕入れたM園芸さんのビオラの苗を寄せ植えに使おうと、その苗の前にしゃがみこんだとき、ひとケースの中に配された苗の色づかいのあまりの完成度の高さと、苗の生命感にくらくらしてしまって、ついついぼーっと見とれてしまったのです。そして、しばらく無心に眺めていたら、その苗から、喜びや、楽しみ、そして苦しいまでの悩みや迷い、がじわじわと伝わってきたのでした。まるで売り場に並ぶ1枚の抽象画のような彩りの苗。それを仕立て上げるためにM園芸さんの味わった思いがそのままそこに宿っていて、封じ込められていて、見ていると、ずしんと伝わってくるのでした。

そんな思いをして、こんな素敵な苗をつくってくれる人たちがいる。そして、彼女たちがつくった苗が、もう苗という域を超えていて、もはや一個のアートとよぶしかない美しさを醸し出している、ということに、なんだか泣けてきてしまったのです。すごいなって。

規格品のような花しか見たことのない日本全国の業者さんや、お客様たちに、ぜひ彼女たちの作品を見せて差し上げたいです。心ある人にはきっと伝わるでしょうから。

それでは本日はこれにて。みなさまごきげんよう。

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2007年11月 8日 (木)

卒業。

みなさまこんばんは。

只今植えもん屋は、秋~年末にかけての繁忙期に突入いたしまして、毎日なんだかばたばたとしております。商いをする者にとりましては、暇っていうことが一番切ないことですのでね~。ありがたいことでございます。しみじみ。

さて、そうは言いながら、楽観してはいられない状況というのがここ最近の当地方の植えもん屋業界でございます。昨年は市内にふたつある花市場のうちのひとつがなんとつぶれちゃいまして、業界に衝撃が走りました。が、そこが青果市場と合併して再スタートしたものだから、スーパー、八百屋さん、果物屋さんも鉢花や苗を仕入れて売るようになり、しかも、ほとんど利益の出ない見切り品的低価格で売り逃げしちゃうものだから、本業の花屋さんや園芸店が大変な打撃を受けております。

ただでさえ人口のそう多くないこの地方で、花屋さんや園芸店やホームセンターが乱立して飽和状態なのに、そして、ここ数年でやめたり、つぶれたりしている業者も多いというのに。そして生き残るためにみんないろんな知恵をしぼり、工夫をし、出来ない我慢もして、頑張っているというのに。そこに専門外の業者さんたちが客寄せ感覚で気軽に植物を売り始めたことで、完全にこの地方の植えもん屋業界のバランスが崩れてしまったんですよね~。加えてこの夏の猛暑で、更に追い討ちをかけられております。

商いは、生き残りをかけた戦いであることはもちろん承知しています。そして、どんな業種の人が何を売ることも自由です。ただ、そのことが、職業人が地道に培ってきた専門性と誇りを一瞬にして崩壊させてしまう、ということがたまらなく、悔しいです。

今のところ当植えもん屋はなんとか食べていけるのですが、それも、いつ先を見誤るかわからないというかなりスリリングな状態ではあります。幸い剪定や、庭仕事や、花壇の植え込みといった技術的な面での仕事をいただけているので、安定はしているのですけれども、まき衛門が思うような、お客様に植物の魅力を伝えていくための店作りは、もうできないかもしれません。

それでも、ちょっとずつでも、ここで頑張って、何かを生み出していけたらいいなっていう覚悟をして東京放浪から帰ってきたのでしたけれども。家族に「あんたは東京に出て働いたほうがいいよ」って言われたのでした。

まき衛門が東京にいる間、普段は外仕事に出てずっと店にいなかった家族が、かわりに店番をしてくれたのですが、いろんなお客様と接する中で、初めてこの地方の実情を痛感したそうです。そして当店は今まで本当にお客様に恵まれていたこと、まき衛門の店作りを応援してくださる方もたくさんいてくださったことを身に沁みて感じたらしいのです。

でも、以前は2~3人でやっていた植えもん屋の店内業務を、最近はまき衛門が1人でやっていたので、寄せ植えをつくったり、面白い店作りのためにいろいろ細工したり、いろんな場所に仕入れに出かけたり、植物の手入れをしたり、という時間がなくなって、だんだんお客様に喜んでいただくための店作りができなくなってきたのでした。まき衛門のつくるものや仕入れたものを楽しみに来店してくださる方々のご期待に添うことができない。そのことでずっと悩んでいたまき衛門のもどかしい気持ちが初めてわかった、というようなことでした。

ま、他にもいくつか理由はあるのですけれども、とにかくここはこの地方で植えもん屋として生きることをいったんリセットして、いちレディーとして新たな生き方を模索しなさい、ということのようです。たとえこの先、植えもん屋レディーとして生きることはできなくても、人生は何度でもやりなおしがきくんだからってことでね。

「ピンチはチャンスだ」っていってくれた友人がいて、「出口は入り口だ」って気付かせてくれた歌詞があって。

なので、まき衛門は今年いっぱいで植えもん屋を一度卒業することになりました。とりあえず東京に出てみようかなと。その先どうなるかは、まだなんにも考えてないし、なんにも決まっていないのだけれど、まき衛門は実はすごい強運の持ち主なので、きっとなんとかなるでせう。おほほほほ。っていうか、この先のことより、このブログのタイトルはどうなるんだろうってことのほうが、心配だったりして。あほですね~。

それでは本日はこれにて。みなさま、あと2ヶ月弱ですが、「植えもん屋まき衛門」をあたたかく見守ってやっていただけると幸いです。ではでは、ごきげんよう。

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2007年11月 3日 (土)

その5。

みなさまこんばんは。やっと最終回でございます。おほほほほ。

東京放浪(?)の最後日前夜、まき衛門は都庁の展望台から夜景を眺めておりました。いつも1人で上京したときは、必ずここに来ます。なんとかと煙は高いところに登りたがるといいますが、本当ですね~。ていうか、ここに来ると気持ちがクリアになるというか、負けるもんかっていう気持ちが湧いてくるというか。地上45階から地面を埋めつくすような夜景を見下ろすと、いろんな発見があって、なんかぞくぞくするんですよね~。

実はまき衛門は旅の中日くらいに、地元に帰って、地元で植えもん屋を頑張ろうかなって決意をいたしました。それというのも、東京で植えもん屋的にやりたいことやれるようになったり、つくりたい物つくれるようになるのって、まき衛門にはかなり時間がかかりそうだなって思ったからです。で、地元ならまき衛門の思いを汲み取ってくださるお客様は少ないかもしれないけれど、でも、自由がきく分、いろんなものがつくりだせそうかなって思ったからです。面白い植えもん屋をやるには、やはり面白いものをつくる環境がないと始まらないかもって思いましてね。そんなこんなで、ちょっと切ない感じで、都庁展望台に立って、でも頑張ろうって思って、ここを立ち去ったわけですけれども。

明けて最終日、ちょっと好きになった有楽町駅から銀座を抜けて、汐留の松下電工ミュージアムまでてくてく。旅の前半に立ち寄った朝倉彫塑館に貼られていたポスターに心惹かれたからです。それはバーナード・リーチっていう、西洋と東洋を行き来した陶芸家の作品展のお知らせのポスターで、その作品たちが、ちょっと気になったものですから。

で、見ました。そして、すっかりはまってしまいました。バーナード・リーチって、素敵~。入って最初に展示してあるお皿を見た瞬間、吐き気がしてしまうくらい衝撃的で、くらくらして、立ち尽くしてしまいました。ああ、この人は、土と、自然と、人と、風土と、芸術に繋がっている人なんだって、感じて、その土の力みたいなものが、お腹をどすんと拳でなぐってくるような気がしたのでした。かといって、粗野ではなく、チャーミングで、あたたかな作品たち。で、リーチは、日本各地をめぐって、その地に根付く陶芸の技法などを学んだり、世に広めたりした人でもあるのですが、まき衛門の住む地方の小鹿田の里にも滞在し、そこでも素敵な作品をつくっていたのでした。小鹿田焼きって、あまりにも身近すぎて、あまりぴんときてませんでしたけれど、リーチの解釈するところの小鹿田焼きの作品が、猛烈にかっこよくて、見てて気絶しそうになっちゃいました。(お腹すきすぎて立ちくらみがしていただけ、という噂もありますが。)

で、意識がもうろうとするまま浜離宮庭園を散策。そして東京駅に戻り、夜行列車の時間がくるまで丸の内のオフィス街の植栽を見て歩きました。このへんの植栽って、銀座よりかなり攻めてる感じですよ。シックだったり、華やかだったり。街ごとに表情を変える東京の植栽。面白いのでぜひ写真をお見せしたかったんですけど、パソコンがいうこと聞いてくれませんので…。ざんねんっ。

え~、さて。こうしててんこもりの刺激を受け、東京駅から夜行列車に乗ったまき衛門でしたが、地元でいつかまき衛門工房でもたちあげようかなって思案しつつ一晩電車に揺られて帰ったのと言うのに!!

帰り着いたら、「あんたやっぱり東京に行きなさい」って家族に言われてしまったのでした。

なにゆえかは次回に譲るとしまして、まき衛門のベクトルは再び東京に向かいはじめたというなんとも大混乱の展開となったのでありました。まき衛門は、なんだかんだいってやっぱり植えもん屋的生き方がもっとも自分らしいなって、旅の間に、強く感じたというのに、それさえ揺らいでしまう今日この頃。うわ~、濃いな~。ま、人生いろいろあります。逆にいろいろ揺さぶられることで新しい道は拓けるような気もしますが。

それでは本日はこれにて。みなさま、落ち着きのないまき衛門で申し訳ないです~。

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