« 2008年4月 | トップページ | 2008年6月 »

2008年5月31日 (土)

脈絡のない。

みなさまこんばんは。

人間の思い出って、6割が「たのしいこと」で、のこりの4割が「かなしいこと」と「どうでもいいこと」で構成されているという調査結果があるのだそうです。世界中どこでどんな人種の人を調べても同じなのだとか。

それは世界中の人がちょっぴりおめでたいから、とかいうことではなくて、悲しい記憶は消去しながら生きていかないと、心のバランスが崩れてしまうから、という人間の防衛本能によるものではないか、とのこと。

そういえば、大学時代の先輩は、長い間、失恋した日の記憶を丸一日分喪失していた。そうやって、知らず知らずのうちに深い悲しみを封印し、あとは何事もなかったように笑っていた先輩を見ていて、人間て、もろいけど強いなって、感じたことを思い出した。

まき衛門が自律神経をおかしくしてしまって日常生活にも支障をきたしていたとき、鍼治療をしてくれた先生が「人間は歌って踊って笑っていたら、病気にはならないそうですよ」って言っていた。歌うことも、踊ることも、笑うことも、内側にあるものを外界にむかって放出することなのだな。元気をなくすときは、内側にいろんなものを堆積させたまま、どうしようもなくなっているときかもしれない。先生の治療はまき衛門の体に元気になる方法を思い出させてくれた。

「中庸」という言葉が好きです。過ぎていない。及ばなくもない。ほどほどのところに漂っている感じ。求めすぎては受け容れる隙間がない。求めなければ始まらない。何かをちぎるような無理はしないこと。ほどほどにね。と自分に言い聞かせているこのごろ。

絵本作家のターシャ・テューダーは言っていた。「私はあきらめなかったわ。どんなに中断されても、じっと辛抱強く続けたの。だから夢がかなったの。」と。さて、その法則の真偽のほどはわからないけれど、何かにむかってこつこつ積み重ねたことはきっと自分を裏切らないだろうと思う。

「明日という字は明るい日と書くのさ」という歌詞の切ない願い。「明日はまだ何も失敗していない日」という赤毛のアンの大発見。

さいきん脈絡もなくこんなことを考えてみたりする。

それでは本日はこれにて。みなさまごきげんよう。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年5月26日 (月)

ココロノユトリ。

みなさまこんばんは。ちょっぴりご無沙汰でございました。

やっと、やっと春からのイベント販売の全てが終わって、ようやく人間らしい生活に戻れそうです。

この一週間ほどは、とあるイベントで毎日十数時間連続販売、という日々でした。とにかく朝から夜までずっとずっとひたすら接客販売。昼食も夕食も飲み込むように摂取し、いつでもお客様に対応できるような態勢でいなければなりません。販売のみに全神経を注ぐ。そんな毎日。

で、今日ようやくそのイベントに一区切りつきまして、会場の片付けなどをしておりましたときに、ふと夕焼け空を見上げまして。野の草花の上をわたってくる風のやわらかさに気付きまして。で、その風が運んでくるにおいのあまやかさを思い出しまして。

ああ、私、やっと「販売機械」から「ひと」に戻ったんだなあ、という心地がしましてね。凍っていたからだが溶けていくようなひとときでございました。自分をつつむものに気付く、というのがゆとり、というものなのだなあなんて思ったりもしましてね。

そうは申しましても、まき衛門が植えもん屋の店を離れていた間にたまった店内業務や寄せ植えのご注文、いくつかいただいているお庭のリフォームの仕事などにもこれから取り組んでいく予定になっておりまして、まだまだまだまだまだまだまだまだお休みなどいただけないのではありますが。

でも、ちょっと一息つけたかなあと。ああ、ビールがおいしい。窓から入る夜風がここちよい。うふふふふ。

それでは本日はこれにて。みなさまごきげんよう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年5月13日 (火)

吸い込まれゆく。

みなさまこんばんは。

今日、母の日用にラッピングしていた花たちを普段着に戻すべくリボンをほどいていたりなんかしていました際に、ある花と目があいました。その草姿が良くて、前回の花市場で仕入れた花です。

入荷したばかりのその花は、赤い花で、少しうつむきがちに咲いておりましたが、ふとその顔をのぞきこみましたら、なんともいえないときめきと申しましょうか、はなやぎを感じまして、ぐっと胸をつかまれたような心地がいたしました。そしてまき衛門はその花の咽喉の奥にぐいぐい吸い込まれてゆくようなあやうさにくらくらしたのでした。

そのペンステモンという名の花は、いつもこのブログでご紹介させていただいている魂の苗職人、M園芸さんがつくってくれたものなのですが、ああ、もうなんと言ったらいいのでしょう。素敵すぎます。

M園芸さんは、どんな品種の花を仕立てるか、という選択眼も素晴らしいのですけれども、その仕立てた花に独特の個性、というか人格というか、物語や詩情をまとわせることが出来る、本当に数少ない苗職人さんなのですけれども、最近はまた一段とその腕が洗練されてきていて、よくぞこんな素敵なものをつくってくださったと、胸があつくなります。

031

こちらがそのペンステモンでございます。

紅い花なのに暑苦しくなくて、むしろ涼感さえ漂います。多分葉の色がさわやかな黄緑だからだと思うのですが。

029 規格品のような画一的な美しさの花をつくる生産者さんはたくさんおられます。でも、M園芸さんはそういうところの美しさはすでに超えているなあって思います。

027

こんな花や

034 こんな花を見ていると、江戸時代のおきゃんな町娘を見ているような楽しさがわいてくるのですよね~。

みなさまに実物をお見せしたいです~。

046 こちらはジニア・プロフュ-ジョンのチェリー色の八重咲き。

047 このようにてんこもりの花とつぼみをつけている苗を仕立ててくれました。

060 こちらもM園芸さんの仕立ててくれたケイトウ。

059どの生産者さんのものより発色が良くて、 カラフル。それでいて派手ないやらしさがないのです。

M園芸さんの花は花市場でもトップクラスの高値がつきます。もちろんそのぶん売値も高くなるわけですけれども、その花自体に充分な説得力があるので、お客様も喜んで買ってくださいます。

この花たちはM園芸さんの心意気の結晶ですもんね。

017 最後におまけで。

これは母の日用につくった寄せ植えでございます。淡いシフォンピンクのカーネーションがメインです。

021M園芸さんのつくってくれた高性アゲラタムやハマカンザシ、千日紅などを脇役に 明るめの葉物植物とあわせました。

010 上から見るとこんな感じ。

022つくった次の日にお嫁にいきました。

ありがたいことでございます。

それでは本日はこれにて。みなさまごきげんよう。

| | コメント (4) | トラックバック (1)

2008年5月12日 (月)

母の日は母が来る日。

みなさまこんばんは。

今日は母の日でございました。きっと世の中のお花屋さんはさぞかしお忙しかったことと思います。

え~、他人事みたいに言っておりますけれど、植えもん屋も大きなくくりで言えば花屋のはしくれなわけでして、それなりに母の日というのには力をいれるわけです。が、カーネーションの鉢植えをどっさり仕入れて販売する、ということはいたしません。ま、全く仕入れないわけでもないんですけどね、まあ、ほどほどにってことなんですな。

それといいますのも、植えもん屋は自他共に認めるちょっとディープな園芸店でございまして、いわゆるギフト用に見栄えのする植物よりも、ご自宅用に、庭いじりや、植物と過ごす時間が楽しくなっちゃう的な品揃えがメインの、よそゆきじゃない店なのでございます。

ゆえに、母の日、と申しましてもお母さんに贈るために来店されるお客様は半分くらいで、あとはですね~、お母様ご本人が植物を買いにこられます。

「誰も花なんてくれないから自分で買いに来たの。」とおっしゃるお母様。「子どもが好きなもの買っていいって言ってくれたから、花を買いにきたの。」とおっしゃる方も。また、ご年配のお母様用の花をお求めになられて、ついでに自分の分も、という方等々。いろいろです。

で、そんなお母様がお求めになるものって、カーネーションではないことが多いのでした。例えばバラだったり、アヤメだったり、桑の木だったり、ちょっと渋い和風の寄せ植えだったり。なので、母の日直前の花市場で、他の業者さんが目の色を変えてカーネーションを競り合っているときも、そのすきまをぬうような品揃えをするためにマイペースな競りを展開するのでありました。逆に、母の日用でない植物は品薄になっていたりするので、それはそれでちょっと大変だったりもするんですけどね~。

ということで、お母様ご自身が続々とご来店くださってばたばたと忙しい一日ではありました。

あとですね~、滅多に花なんて買いに来ない中高校生の男の子が、もじもじしながら花を選び、「恥ずかしいので持って帰る花が見えないような袋に入れてください」なんていう光景にであったり、というのもこの日ならではだったりします。そういうのって、なんだか、嬉しくなってしまうのでした。

そしていろんなご家族の、いろんな関係のありかたが垣間見えたりもしましてね。ああ、母の日って、大変だけど、面白いなあと、毎年思います。

それでは本日はこれにて。みなさまごきげんよう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年5月 5日 (月)

花の品格。

みなさまこんばんは。

いよいよ明日イベント販売の最終日となります。ああ、長かった。でも、あっという間だった。

ということで、今回はとっておきの植物をご紹介しようかなと。

010 それがこちらの「離宮アヤメ」でございます。

009 この繊細なラインと、きりりとした立ち姿をご覧くださいませ。

かなりの美形にございます。

002_2 「離宮アヤメ」は通称で、京都の桂離宮に植えられているアヤメを株分けしてもらったものだからなのだそうです。

003_2 当地方の人間国宝のお身内の方が譲り受けたものを、盆栽の趣味家の方が分けてもらったのだそうで、その方と父が盆栽仲間だったので、植えもん屋にも10年位前に分けてもらったたのでした。

で、このアヤメが毎年この姿を見せてくれるということが植えもん屋の喜びだったりするわけなのです。

煩雑な毎日の中で、この花と向き合うひととき、「気品」という言葉を思い出します。

野に咲く花の美しさとはまた別の美しさに満ちています。

このブログに来てくださったみなさまにもその空気感を味わっていただけたらいいなあと。いかがでしょうか。

それでは本日はこれにて。みなさまごきげんよう。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2008年5月 1日 (木)

路傍の花。

みなさまこんばんは。

ゴールデンウィークに突入し、イベント販売の会場もいよいよ最終決戦、という雰囲気になってまいりました。

同業者さんとのいろいろの戦いに、ともすると神経がぴりぴり尖ってしまいがちなのですが、そんなまき衛門をちょっと冷静にさせてくれる光景があるのでした。

009

毎朝この線路沿いの道を通ってイベント会場に向かうのですが、

002この光景を見ていると、なんだか妙に落ち着きます。

というより、張り詰めた気持ちの糸がほどよくなっちゃうといいましょうか。

一歩ひいたところからいろんなことを考えられるようになるのでした。

006 この毎朝の光の景色の中で、線路脇に咲いているこのサーモンオレンジの花が特にいいなって思うのです。

500円玉くらいの大きさの花が、地面からす~っと立ち上がって咲いている。

ある日は風にゆれながら。ある日は雨のしずくを受けながら。ある日は瞬くように笑いながら。

ほんとうになにげなくて、どこにでも咲いていて、誰もがみたことがあって、誰もが気にとめていないかもしれない、そんな花なのですが。

昔から好きなのでした。

004 近くでみるとこんな花。ナガミヒナゲシ、という帰化植物です。

そして。

007_2この花がきれいに見える日はイベント会場の花もよく売れるので忙しくなります。

で、逆にそうでもないなって思う日は、あまり売れなくてちょっと暇なので花の配置を入れ替えたり、手入れをしたり、寄せ植えをつくったりして、翌日の販売に備えるのでした。

先日お客様に「同じ花でも人の手に育てられると弱くて、勝手に生えている花が強いのは何故?」というご質問をうけました。

それはまき衛門が思うに、という前置きをして、「意思があるからじゃないかしら」とお答えしたのでした。

子孫を残さなくては、という思いで種をこぼし、そこで芽生えたいのちはそこで根を張って生きる覚悟で育ちますからねって。

人の手で栽培されたものは、生まれてから枯れるまで、一度も雨にあたることのない植物さえある。そんなものに「生きる」という意思は生まれるだろうかと。

まき衛門が路傍の花に心惹かれるのは、そんな強い意思に満ちているからなのかもって、思ったのですけれども。

そして出来れば植えもん屋で商う花もそんな意思を持つように、彼らの野生を引き出したいなって、思うのですけども。

それでは本日はこれにて。みなさまごきげんよう。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2008年4月 | トップページ | 2008年6月 »