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2008年7月 9日 (水)

満ちてくる。

みなさまこんばんは。

昨日は七夕でしたね。で、星空を堪能しようと屋根の上でビールを飲んではみたものの、気がつくとやさぐれていたまき衛門でございました。

織姫と彦星が年に一度の逢瀬を果たすこのろまんちっくな日に、なにゆえやさぐれていたのかと申しますと、ま、いろいろですな。予想外に早い梅雨明けゆえ、連日の猛暑に体が悲鳴をあげはじめていることとか、地球温暖化に対して植えもん屋的にどうしたらいいんだろうとか、自分の要領の悪さとか、当地方の園芸界の展望が見えないこととか、いい植物がこの地方の市場に入ってこないこととか、自分のやってることが実はまちがいなんじゃないかとか、いろいろ。イモヅル式に考えてたら情けなくなりましてね。

なので、織姫と彦星を見上げつつ、

「これからまき衛門はどうしたらいいのか、ひとつ教えちゃくれませんか」ってお願いしてみたんですな。

で、まあ、まあ、いろんなことに苛立ちながらビールを飲みつつ更にやさぐれておりましたんですが、ふと耳を澄ましてみよう、というこころもちになりましてね。屋根に寝そべっておりますと、なにせ、いろんな音が聞こえてくるものですからね。

ってことで、いろんな音に耳を傾けてみたというところが、聞こえてくるんですな。まず車の走る音。自転車で通り過ぎる人達の会話。海に近い工場の機械の稼働している音。踏み切りの遮断機が下りているときの連続音。電車の通過する音。水が入った田んぼから、カエルの甲高い声。草むらかもいくつかの虫の声。

で、じっとそれらを聞き分けておりますと、そのなかに混じって、解読不明な音が存在することに気がつきました。

なんだかよくわからないけれど、それは決して耳に不快な音ではありません。そして、それは、明確な、「音」として把握できる類の音でもありませんでした。なのに、聞こえ来るいろんな音たちに混じってそれはまき衛門の感覚に届き、なおかつ、他の音の隙間を埋めるように、満ちてくる音なのでした。

得体が知れないけれど、でも、私はこの音をいつも耳にしている。そんな種類の音。

しばらく目を閉じてその音の出所を探っていると、「あっこれは…」と思い当たる感覚にいきあたりました。ああ、そうだ、そうだ。

いつもまき衛門の耳に届いている音。それは、山や野の植物達が発する言葉のようなものです。もちろん鮮明な発音や、明確な意思がある輪郭のはっきりしたものではなく、風に生じる木の葉擦れ的なものでもない、まるで植物達の呼吸のようなもの。そして、それは水のように、波のようにひたひたと耳の奥に満ちてくるのでした。いつも、耳にしているような気がするのに、意識することすらなかったのですけどもね。

その、初めて認識する、実はいつも聞いている音を耳に感じつつ、

「きっと、昔の人はこういう音って当たり前に身近なものだったんだろうな~」

って、思って、この国にアニミズムという考え方が生まれたのも当然だよな~なんて思ったのでした。

そして八百万の神様を存在させるこの国のおおらかさの中に、まき衛門の求めるヒントはあるのかもしれないな~なんて思ってみたりもしたのでした。

ということで、今夜も熱帯夜になるやもしれませぬゆえ、アイスノンを枕がわりに寝るとしませう。部屋にクーラーなんて文明の利器はないですのでね~。

それでは本日はこれにて。みなさまごきげんよう。

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